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CO₂削減に向けた取り組み
屋上から始めるカーボンニュートラルで
人にも地球にもやさしい建物づくりを -
屋上でカーボンニュートラルに寄与する工法として、太陽光発電・外断熱工法・屋上緑化の3つが挙げられます。それぞれの工法の概略とその効果についてご説明します。
① 太陽光発電

太陽光発電の導入は東日本大震災以降増加しており、都市部で導入する場合、屋上が最も有効なスペースとなります。他の再生可能エネルギーに比べ、大規模な設備が不要であることも魅力です。
太陽光発電はモジュールの設置方法が様々で、それが防水層と密接する事から、タイプに応じた3つの基礎をご用意しています。
建築物の建築・設備設計段階で、屋根面の断熱遮熱性能によるエネルギー消費量や室内環境を比較することで、建築物の建設規模や建物用途による適切な防水仕様の提案が可能となります。
- ソーラーベースモジュール架台を用いる従来型のタイプ
- ソーラーステイモジュール架台を用いないタイプ
- フレキシブルモジュール直接防水に密着させるタイプ
太陽光を設けた場合の発電量について、NEDO国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構による計算方法を元とし、それを外断熱工法で検討した東京都千代田区の建物をモデルケースにCO₂削減効果について検証します。
年間のCO₂排出量を20kg/㎡以上削減
屋上に使用できるモジュール枚数はそれぞれ異なりますが、それぞれ㎡あたり22kg~30kgのCO₂排出量削減効果があります。また、タイプによって荷重が異なる事も大きな特徴となります。
出力 | 枚数 | Kg・CO₂/㎡・年 | 荷重(kg/㎡) | |
---|---|---|---|---|
ソーラーベース | 0.25 | 135 | 30.3 | 14.6 |
ソーラーステイ | 0.25 | 135 | 28.4 | 9.7 |
フレキシブル | 0.135 | 200 | 22.7 | 1.2 |
② 外断熱工法

外断熱工法は内断熱工法に比べ躯体の保護や結露防止に有効です。空調の使用を抑え、省エネにもつながります。
断熱の効果について、東京千代田区のビル(屋根面積約330㎡)をモデルケースとして(一財)建築環境・省エネルギー機構監修のThe Best Programを元に解析しました。
建築物の建築・設備設計段階で、屋根面の断熱遮熱性能によるエネルギー消費量や室内環境を比較することで、建築物の建設規模や建物用途による適切な防水仕様の提案が可能となります。
断熱を行うことにより空調負荷を年間25%以上も削減
この計算結果をもとに年間空調負荷を計算すると非断熱は184.75GJ、断熱を行った場合は137.52GJとなり、25%以上の削減効果となります。
これはCO₂排出量の削減と直結するため、CO₂排出量は㎡あたり15.6kgの削減となります。
夏季 | 冬季 | |||||
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最高温度 | 温度差 | 最高温度 | 温度差 | 最低温度 | 温度差 | |
非断熱屋根 | 33.08 | ー | 11.56 | ー | 9.08 | ー |
断熱屋根 | 31.30 | -1.78 | 13.13 | +1.57 | 11.47 | +2.39 |
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年間空調負荷 最上階※横にスクロールできます。 年間空調負荷(GJ) 非断熱 現在の省エネ基準 約174 130 -
年間当たりのCO₂排出量 外断熱(最上階)※横にスクロールできます。 CO₂排出量(kg-CO₂/㎡・年) 非断熱 現在の省エネ基準 61.05 45.44
③ 屋上緑化

屋上緑化も従来より存在しており、大規模な建築物では何らかの緑化をされているケースがほとんどです。(CO₂を指標とした屋上緑化植物におけるライフサイクルアセスメントに関する研究による)屋上緑化は心理的な癒し効果はもちろんのこと、CO₂発生抑制にも寄与しています。
- (参考著書)
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- ※松江正彦・長濱庸介・飯塚康雄・村田みゆき・藤原宣夫(2009)日本における都市緑化樹木のCO₂固定量算定式,日本緑化工学会誌,35(2) : 318-324.
- ※国土技術政策総合研究所の「都市緑化樹木のCO₂固定量の算出」
- ※黒沼尊紀(2017)「CO₂を指標とした屋上緑化植物におけるライフサイクルアセスメントに関する研究」
まとめ
屋上はエネルギー効率改善や快適さを求める絶好の場で、カーボンニュートラル実施に向けた最適な場です。ただし、ご紹介したカーボンニュートラルに寄与する部材の設置を行うと、定期的に行わなければならない防水改修に加え、さらに費用と工期が必要となります。
この解決のため、田島ルーフィングでは高耐久防水工法を推奨しています。これにより建物の防水改修工事の回数を減少させて費用の抑制が可能となり、同時に改修工事に伴うCO₂排出量の削減、建物のライフサイクルCO₂削減に寄与します。
環境に配慮した屋上づくりをご検討の際はぜひお気軽にお問い合わせくだい。
なお、今回ご紹介した工法では、新築・改修それぞれの注意点があります。
こちらもご参考ください。
新築工事の際の注意点
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太陽光発電は法定耐用年数を17年とされており、一般的には20年程度の耐久性があるとされています。露出防水では太陽光の基礎と接合するため、防水層の耐久性も20年以上のものを見込む必要があります。参考:一般財団法人建築環境・省エネルギー機構「住宅の平成25年省エネルギー基準の解説」 - 断熱材は防水材と同じく経年で劣化し、20年で約2割性能が低下します。また、年代によって省エネの基準が変わっており、それを見込んだ断熱性能を新築時に付与する事が理想です。
- 屋上緑化を行った場合、防水改修を行うためには緑化・土壌・緑化用システムを撤去しなければならず、工期や費用が通常の防水改修と比べ負担が大きくなります。よって、通常の防水より長寿命の防水工法を考えなければなりません。
改修工事の際の注意点
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太陽光発電は法定耐用年数を17年とされており、一般的には20年程度の耐久性があるとされています。露出防水では太陽光の基礎と接合するため、防水層の耐久性も20年以上のものを見込む必要があります。参考:一般財団法人建築環境・省エネルギー機構「住宅の平成25年省エネルギー基準の解説」 - 防水改修時に太陽光を設置する場合、荷重の検討を行う必要があります。また、基礎を設けるには下地にアンカー固定を行うため、コンクリート下地以外では設置が困難なケースがあります。
- 外断熱工法を行う場合、既存防水層との相性を考慮する必要があります。
- 既存に外断熱工法がされている場合も、断熱材は経年により劣化する事が判明しており、20年で20%の性能低下が見られ、更に漏水等により断熱材に水が浸入した場合、50%以上の性能低下が発生します。また、新築当時の省エネルギー基準と現在の基準が異なっている可能性があります。防水改修時に新たに断熱材を付与する場合、それらを考慮し厚みの決定を行って下さい。
- 屋上緑化を行った場合、防水改修を行うためには緑化・土壌・緑化用システムを撤去しなければならず、工期や費用が通常の防水改修と比べ負担が大きくなります。よって、通常の防水より長寿命の防水工法を考えなければなりません。また、荷重の検討は必須です。