中部（central）と空港（airport）を組み合わせた「セントレア（Centrair）」の名称でおなじみの中部国際空港は、2005年の愛知万博開催にあわせて開港しました。国内線・国際線の利便性はもちろん、空港内にはさまざまな施設や店舗があり、国内で有数の利用客数を誇る空港となっています。

2023年に行われたこのセントレアの改修では、国内線手荷物受取所の床にTAJIMA製品をご採用いただきました。ユニバーサルデザインを考慮した配色やこだわりのポイントなどについて、改修をご担当された中部国際空港施設サービス株式会社の立石さん、松井さん、石田さんにお話をうかがいました。

きれいな空間でお客様をお出迎え

2005年の開港から20年近く経過したため、既存の床は経年劣化によりトップ層のめくれなどがいたるところで発生しており、安全性も担保できておりませんでした。また、蓄積された汚れのために全体的にくすんだ印象も与えていました。

今回改修をした国内線手荷物受取所は、お客様をお出迎えする最初の空間であり、長時間のフライトを終えたお客様がひと息つける大切な空間です。ただ預けた手荷物を引き取るためだけの場所にせず、お客様をセントレアへ迎え入れる大切な空間として、きれいで落ち着きのあるイメージにしたいと考えました。

以前はグレー系の床材を使用していましたが、メインの床材を白色に変更したことにより、空間の印象がガラリと変わってとても明るい印象になりました。また、今回は床材のコーティングも行いましたが、TAJIMAの単層ビニル床タイル「モノシュタイン」は製品自体にも光沢があるので、光沢のあるきれいな空間となったと感じました。手荷物受取所で働かれているエアライン事業者の方々からも、以前と比べて明るくきれいな空間になってよかったとお褒めの言葉をいただきました。

耐久性とすべての方に配慮したカラーリング

手荷物受取所はお客様や荷物が頻繁に往来する箇所となるため、既存床材と同等またはそれ以上の耐久性を持つ床材を選定する必要がありました。そのため、耐久性が非常に高い床材であるTAJIMAの「モノシュタイン」をメイン箇所へ採用しました。また、既存床材は経年劣化によりトップ層のめくれなどが目立っていましたが、モノシュタインは単層ビニル床タイルのため、すりへっても模様が変化しないという利点もありました。

カラーについては白色を採用しましたが、明るい色は汚れが目立ちやすくなる懸念点がありました。しかし今回、床材にコーティングを行うことにより清掃が容易になったので、明るい色の採用が実現することができました。ターンテーブル（荷物を受け取る所）まわりには、カラーバリエーションが豊富なコンポジションビニル床タイル「ドルチェ」のなかから、空と海を表すコーポレートカラーのセントレアブルーをイメージした水色を採用しました。シンプルなデザインのなかにもセントレアらしさが表現できたかと思います。以前は、ターンテーブルまわりに受け取りエリアであることを強調するためにあとからテープを貼り付けていましたが、今回はターンテーブルまわりを床材で色分けすることで判別できるようにしました。

また、ユニバーサルデザインの観点も取り入れています。荷物の受け取りエリアを色分けして水色にしましたが、ここを周囲に比べて濃い色にしてしまうと、お客様によってはこの部分が穴に見えてしまい、恐怖心を与えてしまうことになります。
そのため恐怖心を与えない程度の色分けとすることで薄い水色の採用に至りました。このようにお客様に配慮した色彩を選定したことで、空港が目指すだれもが利用できる空間づくりができたと思います。

また、今回は既存タイルのうえに新しいタイルを貼る方法を採用したことで、張り替え作業や廃棄物を抑え、CO2排出量の抑制にも貢献できました。さらに、この施工方法では出入口際の段差が課題になるのではと思っていましたが、TAJIMAや施工者のノウハウのおかげで利用に支障なく、見た目もきれいに納めてもらいました。ここは施工に関わった担当者だけが知っているお気に入りポイントです。

──今回、弊社床材を選んでいただいた理由をお聞かせください。
このたびの改修にあたって、TAJIMAの担当者の方にお話を聞いたところ、豊富な経験や実績に基づいた内容で、面白く、知見が広がりました。ランニングコストを抑える提案などもご提案いただくなど、床材だけでなく関連事項についても信頼してお任せできた点がポイントだったと考えています。

モノシュタイン TH-1101 / ドルチェ 682-945

色のコミュニケーションツール

TAJIMAでは、色の見え方を問わず誰もがスムーズにコミュニケーションが取れるよう、日本色彩研究所^※との共同研究により「UDカラーネーム（UDCN）」を考案しました。床材の全製品にこのUDカラーネームをつけることで、色の認識に違いがあっても共有することができます。

またこの取り組みで得たノウハウを元に、TAJIMAではユニバーサルデザインに配慮したフロアプランをご提案することが可能です。ご希望の方はお問い合わせください。

※一般財団法人日本色彩研究所：日本で唯一の色彩に関する総合的な研究機関です。公式サイト：https://www.jcri.jp

UDカラーネームについての記事はこちら
2021.10.21　TAJIMAの新たな取り組み「UDカラーネーム」