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[インタビュー]マンションでの階下への音問題を軽減するためのマット~防音あんしん yマット

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TAJIMAが2020年8月に発売した「防音あんしん yマット」は、マンションなどで上の階の子供が走りまわったりすることで発生するドンドンという音(重量床衝撃音)を軽減するためのマットです。amazonをプラットフォームとして販売を開始後、リピーターの方を含めて着実に販売実績を積み重ねています。

今回は共同開発者である、「横浜市総合リハビリテーションセンター」の西村さん、「大成建設株式会社」の田中さん、田島ルーフィング株式会社(以下TAJIMA)の開発者の臼井の3者に、共同開発に至る経緯や、今後の展望について語っていただきました。

今回取材にご協力いただいたのは…

(左から)
横浜市総合リハビリテーションセンター 西村 顕さん
大成建設株式会社 先進技術開発部 田中 ひかりさん
田島ルーフィング株式会社 開発部 臼井 健一

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増加しているが対策がむずかしい、マンションの⾳問題

西村さん:「横浜市総合リハビリテーションセンターでは、約35年前から横浜市在住の高齢者や障害児者の方々に対し、障害や加齢によって生じる生活上の問題の改善や軽減などを図ることを目的として、福祉用具や住宅改造の相談をおこなっています。
私は、建築職として住宅改造の相談を担当しているのですが、この10年くらいで急増しているのが、知的障害や発達障害のあるお子さんの相談です。
知的障害や発達障害のあるお子さんのなかには、家の中を走りまわったり飛び跳ねたりする行動が見られ、ご家族の方はそれに対して非常に強いストレスを感じています。特に集合住宅(マンション)となると、階下の住人に迷惑をかけていないか、ご家族はとても心配しています。
100円均一ショップやホームセンターなどで販売されているジョイントマットやリハビリ用の訓練マットを床に何重にも敷いて音が階下に響かないように対策をされている方もたくさんいらっしゃいます。それでも、管理組合や階下の住民から直接クレームが入ってしまうといった相談もありました。」

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マンションにおける周辺への音の問題は切実。分譲タイプとなると、さらに負担は増してしまう。

2016年、既製品の検証からスタートした開発

西村さん:「知的障害や発達障害のあるお子さんに対して、『走らないで! ジャンプしないで!』と口頭で伝えても、障害特性上、言葉を使ったコミュニケーションが得意ではない場合があります。また、このような音の問題は、お子さん本人は特に困っているわけではなく、家族や周囲の人たちが困ってしまうのが、解決方法を探るうえでは悩ましいところでもあります。

ただ、市販のジョイントマットやリハビリ用の訓練マットが階下への防音性がどれほどあるのか検証したことがなく、また私が調べたところでは各メーカーにもエビデンスがなかったため、具体的に推奨できるマットというものがありませんでした。
そんなときに、たまたまマンションの音の相談で訪問した際に大成建設さんの技術センターの建物が目に入りました。もしかしたら、音の研究をしている人もいるのでは?と思い、大成建設のウェブサイトを検索し、思い切ってお問い合わせフォームからメールを送信してみたのです。そうしたら、数日後に返信があり、この知的障害や発達障害の子どもたちの音環境整備に大変興味をもっていただきました。そして既存のマット製品の防音性に関する調査測定が始まりました。2016年のことです。」

田中さん:「そうですね。西村さんから、知的障害や発達障害のあるお子さんの行動やご家族のご負担についてお聞きし、ドンドンという飛び跳ね音が市販のマットでどの程度低減できるかを検証する必要性を私たちも感じました。
私たちはこれまでさまざまな建物において騒音の対策検討や低減製品の開発をおこなってきました。そのうちのひとつとして、集合住宅において発生する重量床衝撃音の対策工法の開発をおこなっており、重量床衝撃音を評価する実験施設を所有しております。我々の技術と施設がお役に立てると思い、いっしょに実験をおこなうこととなりました。」

推奨できるマットがなければ「作ってしまおう」

西村さん:「実際に実験をしてみると、ほとんどのマットで重量床衝撃音の軽減が見られず、軽減できたマットもすぐにへたってしまうことがわかりました。そこで、『自信をもっておすすめできるものがないのであれば作ってしまおう!』ということになりました。
ただ、当センターも大成建設さんもメーカーではないため、製品の製造ができません。製造販売メーカーを何社か探しているなかで、床のことなら福祉施設に対して理解が深く、以前からイベント協力等でお付き合いのある田島ルーフィングさんに一度相談してみようということになりました。これが2017年のことです。」

臼井:「音については、弊社でも相談されることが多い事項でした。普段弊社で製造しているのはおおむね2〜6mm程度の厚みの床材です。床材では軽量床衝撃音は軽減できますが、重量床衝撃音の改善はむずかしいのが現実です。ただし、マットであれば蓄積してきたノウハウを組み合わせることで実現できる余地はあると考え、開発に参加させていただくことになりました。
『防音性能』、『耐久性(へたりにくさ)』を両立させるべく、さまざまな材料を組み合わせての実験をおこないました。

ただ、実際に開発に着手してみるとハードルが高く、耐久性を求めれば防音性能が下がり、防音性能を求めれば耐久性が下がるというシーソーのような性能のバランスを調整するのにかなりの時間を要しました。
ある程度のかたちになったのは、マットの開発を始めて2年半が経ったころでした。

また、ヒアリングを重ねるうちに、てんかんや肢体に不自由がある方の場合、安全性への配慮として衝撃吸収性も必要ということがわかりました。床材で用いている衝撃吸収性の評価方法(JIS A 6519)を用いた結果、一般的な畳より衝撃吸収性能が高く、家庭でご利用いただく際に気になる安全性の面でも有効であるものとなりました。」

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マットによる音の低減量(タテ軸の上にいくほど低減量が多い)
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マットの厚さの低下率(タテ軸の下にいくほど厚さが低下しない

田中さん:「マットのヒアリングを重ねるうちに、毎日の掃除の際にマットを持ち上げる必要をなくし、水などをこぼした場合にすぐ拭き取ることができるために、マットの目地をなくして敷き詰めることはできないだろうかというアイデアが生まれました。そこで、重量床衝撃音の低減の性能はそのままに、部屋全体にフローリングのように敷き詰める、フロアタイプの開発もスタートすることにしました。フロアタイプは工事を伴いますが、既存のフローリングの上に敷設することができ、また、和室であれば畳と置き換えることができるものとしました。」

お披露目イベントで得た確かな手ごたえ

西村さん:「お披露目は、当センターが主催している『ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド(ヨッテク)2019』というリハビリテーションや福祉の総合イベントでしたね。
そのとき、マットタイプ、フロアタイプの2種類を参考出展というかたちでキッズスペースに敷いたのですが、来場された方から『いつ発売するんですか?』、『いくらで販売されるんですか?』と多くの反応がありました。
このイベント後に新型コロナの流行が始まってしまったので、発売してから展示会などの実際に体験してもらう手段が少なかったのが残念です。機能が限定的なぶん、ある程度露出がないと必要とされている方に見てもらえないですからね。」

臼井:「私の知り合いで、下階の方からの度重なる苦情に耐え切れず泣く泣く引っ越した方もおり、このマットの開発が間に合っていればと悔しい思いをしました。」

田中さん:「実験に実験を重ねてできあがったものなので、より多くの方に試していただき、ご購入いただきたいですね。」

メンテナンスのしやすいフロアタイプにも注目

西村さん:「部屋全体に施工するフロアタイプも、施工事例をもう少し増やしたいですね。
工事の必要性がでてくるので、なかなかむずかしいかもしれませんが。」

田中さん:「弊社でも、社内の設計者に紹介しています。新築時に重量床衝撃音の高い遮断性能が必要となる場合、一般的にはコンクリート床のスラブ厚を大きくすることで対策するのですが、建築後の住宅でスラブ厚を変えることはできません。フロアタイプであれば住宅の一部のみにも使え、予算が少ない場合にも有効ですので、建築後の改修の選択肢のひとつとして考えていただけると感じています。」

臼井:「TAJIMAでもつねづね他者から見えにくい障害に対して、床材メーカーとして寄与できるコトやモノを考えており、この製品もそのうちのひとつとなります。より、みなさまが快適に過ごすお手伝いができればと考えています。」

西村さん:「必要な部分に必要なものを選択していただくことで、障害のあるご本人、ご家族が極力ストレスを感じることなく、社会生活を営んでいただけると思います。
まさに、TAJIMAさんが提唱されている『適材適床』の考えですね。」

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公共施設に導入された事例 (カバーは特注色)
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地域医療センターに導入された事例(カバーは特注色、形状は特注タイプ)
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左)導入前 右)導入後

防音あんしん yマット®

既存の部屋の床に敷いて使用するマットタイプと、あらかじめ床に施工するフロアタイプという2つのタイプをご用意しています。ご利用されるシチュエーションに合わせて、お気軽にご相談ください。

マットタイプ

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お子様が飛び跳ねたり、走りまわったりする音が気になるときに、既存のフローリングなどの上に敷くだけでご利用いただけます。複数でご利用いただく際も、面ファスナーで簡単に接続することができます。ご自宅や保育園、学校、病院、福祉施設、放課後等デイサービス事業所などにおすすめです。

カラー:4色(ダークブラウン、ブラウン、ベージュ、ブルー)
サイズ:90×90cm 厚み5.5cm
重量:5kg/枚

製品の詳細はこちらをご確認ください。

製品のご購入はこちらからお願いいたします。 (amazonの「防音あんしん yマット」ページへと移動します)
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フロアタイプ

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新築、改修時に、防音あんしんyマットと同様の材質を床材の下貼り材として施工するタイプです。
床表層は普通の床材と変わらないため、掃除に特別な手間がかかりません。
戸建、集合住宅を問わず施工できます。

フロアタイプの施工についてのお問い合わせ先:
田島ルーフィングyマット係 TEL:03-5821-7760
メール:y-mat@tajima.co.jp

 

横浜市総合リハビリテーションセンター

子どもから高齢者まで、その人らしい地域での生活を支援します。サービスについての詳細はホームページをご確認ください
http://www.yokohama-rf.jp/

参考文献:
西村 顕、本田秀夫:
「知的障害・発達障害のある子どもの住まいの工夫ガイドブック―危ない! 困った! を安全・安心に」
(amazonの同著紹介ページに移動します)

西村 顕:
「家は心の充電ステーション〜問題行動による事故やトラブルを防ぐ住環境の工夫〜」
日本自閉症協会 会誌かがやき、2021年3月
かがやき2021.pdf (autism.or.jp)

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大成建設株式会社 技術センター

日本有数の大手ゼネコンである大成建設の技術開発を担うラボ施設。詳細につきましてはホームページをご確認ください。
https://www.taisei-techsolu.jp/tech_center/

大成建設によるyマット発売のリリースはこちら
(大成建設公式ホームページに移動します)

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- 弊社担当より - 田島ルーフィング 開発部  臼井 健一

「⾒えにくい障害」への製品でのサポートは普段から⼼がけている考え⽅でしたが、通常扱っている塩ビシートではなく、
マットという案件ではかなりの苦労がありました。ようやくできあがった防音あんしん yマットは、建物の⾳の問題解決に貢献できるものに仕上がりました。 在宅勤務が増えた影響もあるのか、戸建て住宅にも多くご採用いただいておりますので、住宅の音でお困りの⽅にはぜひご利⽤いただきたいと思います。

 

田島ルーフィング 営業部 市戸 友人

「防音あんしん yマット」という名前は、「横浜」からスタートした、子どもも大人も安心して過ごせるような「ワイワイ」遊んでいても、音を「優しく」「柔らかく」包み込めるような場をつくりたいという思いを込めて、それぞれのキーワードの頭文字「y」を付けています。 ご利用いただいている方から「思い切って買って良かった。もっと多くの人に広まりますように。」といったお手紙やメールをいただいており、たいへん励みになっています。 今後は展示会などでも効果を体感していただきたいと思います。ぜひお問い合わせください。

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