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工場・生産施設のおすすめ床材を機能ごとに紹介
学校や店舗、オフィスなどの一般的な建物に比べ、各種製品を製造する工場・生産施設は床面作りにおいても高い専門性や機能性が求められます。また機能性については、製造する製品、たとえば食品や医薬品、電子機器などの種類によってそれぞれに変わってきます。床材メーカーであるTAJIMAは「適材適床」という考えのもと、建物や部位ごとに最適な機能の床材を提供しており、工場・生産施設に対してもさまざまな機能をもつ床材を取り扱っています。今回は工場・生産施設におすすめの床材をご紹介します。
工場・生産施設に求められる床面の機能とは?
工場・生産施設の床作りには、コンクリート下地の上に床材を塗って仕上げる“塗床”の場合と、塩化ビニル製のシートを貼って仕上げる“貼床”の場合の、2つの方法があります。現状では塗床で仕上げる現場も多く見られますが、ここでは貼床の方に着目し、なかでも機能性に優れたビニル床シートについてご紹介します。工場・生産施設で使われる高機能タイプのビニル床シートはみな、静電気によるいろいろな困りごとを軽減する“帯電防止性”の機能を備えています。製造ラインやクリーンルーム、検査室、実験室などでは静電気が機器の誤作動や事故を引き起こす原因にもなります。そこで、施設内に静電気への対策をすることがとても重要となります。さらに、施設の特色によっては、加えて耐動荷重性や耐薬品性などの機能も必要となります。
●「帯電防止性」・・・静電気の発生を抑え、発生してしまった静電気は地面や建物へ向けて逃がすことで、一定量が貯まることを防ぎます。
●「耐動荷重性」・・・キャスター付きの重量物の移動が頻繁に行われる生産施設では、耐動荷重性が求められます。
●「耐薬品性」・・・医薬品の生産施設やクリーンルームなどでは各種薬品に対する耐薬品性が求められます。
それではここから、機能性ビニル床シートをご紹介していきます。
おすすめ1:特に導電性・帯電防止性を求めるときは
静電気とは物体に溜まった電気のことをいい、人体に溜まった静電気が一気に放出されることを「静電気放電(ESD)」といいます。ドアノブに触れてパチッとなるときの電撃はおよそ3000V(ボルト)ですが、半導体はそれよりもはるかに小さい100V程度で破壊するといわれており、電子デバイスを扱う製造現場では徹底した対策が必要です。
それらの場所では基本的な静電気対策に加え、電気・電子技術関連の国際的な規格「IEC規格」の規定に沿った環境に管理することが求められます。規定では静電気による製品の損傷を防止するための「ESD(静電気放電)管理」について細かく定められており、床についても電気抵抗値の範囲などが設定されています。
該当する施設には、ESD(静電気放電)管理に適した導電性のある床材を選びましょう。おすすめとしては、高い導電性と耐動荷重性、耐薬品性を併せもつ機能性ビニル床シート「導電フロア・DS」や、導電性と耐薬品性をもつ「導電フロア・LE」があげられます。導電性床材は静電気の発生を抑えると同時に、発生した静電気はアース線を通じて大地へ拡散させるので、高い帯電防止効果を示します。また、コストを抑えながら静電気対策をしたい場合は「セイデンフロア」やビニル床タイルの「セイデンタイルC」も使えます。
おすすめ2:特に耐動荷重性を求めるときは
キャスター付きの重量物が頻繁に行き来する生産施設の場合、一般的なビニル床シートでは床材のふくれや損傷、剥離等のトラブルが発生する可能性があります。そのため、動荷重に対する耐久性をもったビニル床シートが求められます。
機能性ビニル床シート「移動荷重用フロア」は全層均一な単層シートで高い耐動荷重性をもち、帯電防止性や耐薬品性も備えるので、医薬品や食品、化粧品の工場などにもおすすめです。さらに抗菌性も求めるときは「抗菌移動荷重用フロア」、半導体の不良原因となるアウトガスやケミカルコンタミを抑えたいときは「移動荷重用フロア・OG」も選択肢としてあげられます。
また、重量物の移動に耐える床作りを行なうためには、床材や接着剤の選定に加えて、下地の調整や補強など床全般にわたって対処することがとても重要になります。下地の事前確認から表面強化(必要に応じて)、施工、直後の養生等まで各段階でしっかり確認しながら床作りを進めましょう。
おすすめ3:特に耐薬品性を求めるときは
一般のビニル床シートの場合、薬品や汚染物にふれると、表面に着色や変色などの変化が生じるおそれがあります。また、コンクリート素地のままの床面の場合、酸や動植物油脂にふれるとコンクリートの中性化によって表面に浸食や腐食が進むおそれがあります。このような床面の劣化を防ぐため、医薬品や化粧品の研究所および生産施設、クリーンルームなどには、耐薬品性を備えた床材を使うことが重要となります。
「タイヤクフロア・ラボプラス/ラボ」はさまざまな薬品に対する耐性をもち、ノーワックスメンテナンスによる美観維持性と帯電防止性も両立した機能性ビニル床シートです。薬品などをこぼしてしまった際は、早めにふき取るなど適切に対処することが大切です。「タイヤクフロア・ラボプラス/ラボ」ならば、着色や変色がしづらいことに加え、汚れにくく、ついた汚れも落としやすいコーティングを施しているので、床面の美しさを手軽に長くキープできます。「ラボプラス」は木目柄、モルタル柄、織物柄、雲柄など豊富な4柄14色展開で、「ラボ」は使いやすい単色無地の6カラー展開です
それぞれの床材がもつ特性バランスをチャート図でまとめてチェック
上記でご紹介した床材は主に帯電防止性、耐動荷重性、耐薬品性の3つにおいて、それぞれのバランスで一般のビニル床シートよりも高い機能を備えています。検討している生産施設の種類や用途に合わせ、最適な床材をお選びください。検討にあたっては下地の状況も大きく関わってきますので、お悩みの際はTAJIMAの支店営業所にもご相談いただけます。
機能性だけでなく、工場・生産施設においても快適な空間作りが大切
「ウェルビーイング」(身体的・精神的・社会的にすべてが満たされた状態)の概念が注目され、ビジネスにおいても“よりよい労働環境”作りが求められています。生産性が追求される工場・生産施設では、たとえば休憩時のリフレッシュなど施設内の“快適性”もとても重要な要素となるでしょう。
その点を考慮して、研究施設での使用も見込まれる「タイヤクフロア・ラボプラス」は、居住性の高い多彩な色柄展開となっています。また、ラウンジや食堂、通路、会議室などの一般スペースも、生産開発スペースとは違ったデザイン性を取り入れることで、施設全体での快適性向上につながります。カーペットタイル「タピス セレクトPlus」やビニル床シート「パーマリューム EM」はどちらもスタンダードなシリーズで使いやすく、色柄も豊富なので多彩な空間作りが可能です。
工場・生産施設の用途に合わせ、最適な機能をもつ床材選びを
工場・生産施設では帯電防止性をはじめとして、それぞれの場所に合わせた高い機能性が求められます。それらの機能について最適な床材を選び、下地の状況などを正しく把握して、適切な方法で施工することが大切です。これからの空間作りに向けて、本トピックが参考のひとつになりましたら、嬉しく思います。