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【国内初】発泡層つきビニル床シートの開発で拓けた総合床材メーカーへの道[TAJIMAの床材ギャラリー|昭和編③]

「TAJIMAの床材ギャラリー|昭和編」では、設計士・デザイナーの方々が「レトロ」について考える際のヒントのひとつとして、TAJIMAの昭和の床材を数回にわたってご紹介しています。第3回となる今回は1970〜80年代に発売されたビニル床シートを中心にピックアップしました。
第1回の記事はこちらから
昭和のタイルから紐解く「レトロ」なデザイン[TAJIMAの床材ギャラリー|昭和編①]
第2回の記事はこちらから
海外技術の導入で意匠性を追求したタイル[TAJIMAの床材ギャラリー|昭和編②]
クッションフロアの流行を受けて輸入販売を開始

同業者間の競争激化や国際的な競技大会開催による不況を乗り越えたTAJIMAでしたが、1973年に発生した第1次オイルショックとそれにともなう物価上昇の影響により、苦境に立たされます。一方、このころ床材の多様化が進み、アメリカ製のクッションフロア(発泡層つきビニル床シート)が世界市場を席捲。クッションフロアはファッショナブルで、シート状のため目地が目立たないことから、次世代の床材として注目を集めていました。
こういった状況を踏まえてTAJIMAは市場動向調査を重ねた末に、スウェーデン(当時)のターケット社との提携を決定。同社製品を試験的に輸入し、性能評価、試験施工などの評価を事前に行ったところ、とくに断熱性、遮音性、防滑性に優れていたため、輸入販売と技術導入に踏み切ります。こうして1974年から発売されたのが「アコスチフロア」と「ジムフロア」でした。
国内初の発泡層つきビニル床シートの自社開発とヒット

アコスチフロアとジムフロアの輸入販売開始と同時に、TAJIMAはプロダクトチームを結成し、長尺床材(以下、ビニル床シート)の自社開発に乗り出します。開発は困難を極めましたが、約4年にわたる数々の試行錯誤の末、1977年に国内初の「発泡層つきビニル床シート」の自社開発に成功。この製品はアコスチフロアの名を踏襲し「ACフロア」と名づけられました。
ACフロアは輸入品と比較してもその完成度は高く、大々的なキャンペーンを展開したことで、当時、建築業界が停滞していたにもかかわらず、売り上げを大幅に伸ばしました。
続いて1979年には、それまで防水事業で発売していたビニル床シート「ソフトカペラ」を改良し、バッキング材にガラスペーパーを採用したクッションフロア「GPケミカル(のちに「GPフロア」に改称)」として発売します。GPフロアはガラスペーパーを用いたことでそれまでのクッションフロアにはない特長を備えており、貼り替え時に簡単にはがすことができたり、折り曲げても破れなかったりと、施工性や耐水性、遮音性に優れていました。

発泡層をもたない低価格帯ビニル床シート「パーマリューム」の誕生

機能型ビニル床シートであるACフロアは、その品質の高さから市場で高く評価されていましたが、建物全体に施工するには高価格だったことから、より低価格の製品が求められるようになりました。そこで1980年、製品ラインナップの拡充の一環として、発泡層をもたない汎用タイプのビニル床シートである「パーマリューム」を発売します。
パーマリュームは「Pタイルのシート版」という位置づけで、広範囲に使えるベーシックな床材でしたが、売上は振るいませんでした。そこで独自の模様付け法を開発し、1981年にマーブル品(斑入り)を無地のものと同価格で発売。するとこれまでにはない洗練された模様が好評を博し、売上は徐々に向上していきました。
その後、TAJIMAはACフロア、GPフロア、パーマリュームといったビニル床シートを柱に、カーペットタイルや店舗用床材といった幅広い床仕上げ材を製造・販売し「ビニル床タイルの会社」から「総合床材メーカー」へと大きく変革を遂げていきました。
現在のACフロア・パーマリュームの魅力とは?
いかがでしょうか。今回は1970〜80年代に発売されたビニル床シートを中心にご紹介しました。
なかでも、「ACフロア」「パーマリューム」は現在もその名を受け継いで製造・販売されています。
ACフロアは、2.8、3.5、6.0mmの3タイプの厚さと、7種類の色柄をラインナップした、発泡層をもつビニル床シートです。連続発泡層による高い衝撃吸収性をはじめ、耐動荷重性、防滑性など多様な機能性を備えています。
一方、パーマリュームは2.0、2.5mmの2タイプの厚さをラインナップした発泡層をもたないビニル床シートです。汎用品の価格帯ながら上質感のある豊富な色柄が特長で、ノーワックスメンテナンスに対応するなど現代の長尺シートに求められる機能性も備えています。
そのほかにも、高意匠型の「マジェスタ」や全厚有効層で耐久性に優れた「タフゾーン」、消臭性に特化した「消臭ウェルクリーン」、衝撃吸収性とメンテナンス性を備えた医療・福祉・介護施設向けの「メディウェル」など、さまざまな機能・特長をもったビニル床シートを取り揃えています。
ご使用条件に合わせてお選びいただけるラインナップとなっていますので、気になるものがございましたら、この機会にぜひ一度ご検討ください。