NEWS TOPIC
[色のコミュニケーションを考える] 「UDカラーネーム」が2024年度グッドデザイン賞を受賞
カラーコミュニケーションのためのサポートツールとして開発した「UDカラーネーム(以下UDCN)」が、2024年度のグッドデザイン賞を受賞しました。
審査員の評価
「色弱者特有の見え方も考慮した上で、誰もが認識しやすい色使いを考えることで、色の見え方が異なる人同士でも、色についてのコミュニケーションが取りやすくするための提案。これまでもカラーユニバーサルデザインの取り組みはあったが、本ツールは建材分野という具体的かつ多くの人の生活に関わる領域でのアプローチである。今後、企業ごとの枠を超えたツールとして広まっていくことを期待したい。」
だれもが安心して、色にまつわるコミュニケーションを取れる世界になることを目指して作ってきたツールが、世界的にも有名なデザイン賞で評価を受けることができました。あらためてこのツールを広め、色にまつわるよりよいコミュニケーションに貢献していこうという思いが強まりました。
■グッドデザイン賞とは
グッドデザイン賞は、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨のしくみです。
60年以上にわたり「Gマーク」とともに広く親しまれながら、
デザインによって、暮らしや社会をよりよくしていくための活動をしています。
グッドデザイン賞 https://www.g-mark.org/
色の見え方や色の知識が異なっていても大丈夫
さて、「UDカラーネーム」って何? と思われている方も少なくないと思いますので、簡単に説明してみましょう。
UDCNは、商品の品番やカタログの画像だけでは多くの商品の色を区別できないと話された1人の色弱の方の声から始まりました。
知識や見え方による「色の認識が異なる人同士をつなぐためのシステム」で、だれもがイメージしやすい184色の新しい色の名前である「UDカラーネーム」と、その色名を体系的に並べた色の地図「UDカラーマップ」で構成されています。
より安心感のある豊かな色にまつわるコミュニケーションができる世界が広がることを願い、田島ルーフィングと、日本で唯一の色彩についての総合研究機関である日本色彩研究所による、長きにわたった共同研究・開発によって生まれました。
簡単そうで、じつはひと筋縄ではいかないこともある色にまつわるコミュニケーションに、活かすことができます。
たとえば、お施主さまとインテリアデザイナーが新規案件のインテリアの雰囲気について、電話で打ち合わせをしているとしましょう。
お施主さま 「今回お願いするオフィスは、働く人が癒されるような“緑”をポイントにしたいんですよ」
デザイナー 「いいですね。いまどきっぽいオフィスになりそうです。近日中にラフスケッチをお持ちしますね」
数日後
デザイナー 「いかがでしょう。流行のモスグリーンをアクセントにしながら、ナチュラルで落ち着いた雰囲気にしてみました」
お施主さま 「うーん、もっとはつらつとした明るい若葉の緑をイメージしていたんだけど・・・。やり直してもらえないかな」
“緑”という色名について、それぞれが持つ異なったイメージをすり合わせることができなかったために起きてしまった事例です。
※以降のテキストは、いちどUDカラーマップをご覧になってから読み進めてみてください。
「UDカラーネーム」は、184色の新しい色名で構成されていて、色名は基本的に「色の調子+色味の偏り+基本色名」でできています。独自の測色法によってあらゆる色をこの184色に分類できるスケール感を持ちながら、一方でだれもがイメージしやすいワードを使っていますので、色のイメージを簡単に共有することができます。
たとえば、上記の例では、お施主さまがイメージしていたのは、「明るい黄みの緑」もしくは「あざやかな緑」。一方、デザイナーさんがイメージしていたのは「くすんだ緑」や「暗い青みの緑」あたりでしょうか。
こうした場面では、UDカラーネームを伝えるだけでもイメージが共有できますし、UDカラーマップを見ながら話をすれば、さらにイメージの共有はさらに深まります。
「UDカラーネーム」=あらゆる色を184色に分類し、それらにつけた新しい名前。
色名は、イメージがしやすいようにシンプルなワードの組み合わせ
「UDカラーマップ」=UDカラーネームを体系的に並べた色の地図
と理解していただけるとわかりやすいかと思います。
また、「UDカラーネーム」や「UDカラーマップ」は、上記のような従来の色名に対して抱いていた異なるイメージをすり合わせるだけでなく、色名が理解できない場合や、そもそも色の見え方が異なる人同士が色にまつわるコミュニケーションが取る際も便利に使うことができます。
だれもが安心して色の話ができるようになってほしい
当社では、ほぼすべての製品にUDカラーネームを設定しているうえ、UDカラーネームを使用してフロアプランを作ることができるデジタルツールなども展開しています。
同時に、いち床材メーカーのサービスとしてだけではなく、さまざまな公共サービスや企業でUDカラーネームを採用していただけると、だれもが安心して色にまつわるコミュニケーションを取りやすくなる世界がもっと広がっていくのではないかとも考えています。
このグッドデザイン賞の受賞が、そのきっかけのひとつになればと思っていますので、これからのUDカラーネームの展開に、ぜひご期待ください。