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[インタビュー]「並存する時間(とき)の経過と未来の建築」GoGo1122主宰/一級建築士 川北豪さん

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地域の人々が訪れる自然豊かな公園の隣に、築70年の古民家がありました。この家を含む数軒から構成されるこの街区は、100年ほど前から変わらぬ姿のまま残っているそうです。3世代にわたり住み継がれるこの土地の魅力や、住民がここでの生活を大切にしていることがうかがえます。

「私自身が家主となり、蓄積された土地への愛着を未来につなげることはできないだろうか。」
一級建築士の川北さんは、自らがこれから住む家で新たな試みを行いました。既存建築の歴史を塗り替える「住み替え」ではなく、「未来の住人が見る先人の記憶としての改修計画」を目指す、4年以上に渡る設計者自らが当事者となる古民家改修プロジェクトです。

今回、リビングなどに天然素材から作られたリノリウム床材「マーモリウム」を選んでいただきました。マーモリウムをご採用いただいた理由や、普段空間デザインにおいて心掛けていることやこだわっていることなどいろいろお話をうかがいました。

今回取材にご協力いただいたのは…
GoGo1122

一級建築士

川北 豪さん

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設計者が当事者となり時間(とき)の経過を考える

川北さん:
「この古民家との出会いは宝くじに当たったかのような偶然でした。縁もゆかりもないこの土地を見つけるまで2年近くかかりましたが、見た瞬間に『これだ』と直感したんです。

ここへ来るまでは家族でイギリスに暮らしており、家の庭や公園など緑や自然に囲まれたライフスタイルを送っていました。地域のコミュニティも多くあり、人の息づかいや自然の豊かさを感じながら暮らしていたイギリスとは違い、東京では自分たちのライフスタイルに合う物件を見つけるのはなかなか難しかったです。しかし、出会ってしまうとすぐにわかりました。即決でした。」

改修計画を進めるにあたり、川北さんはまずこの家に住むことから始めました。この土地と建物のつながりを知り、地域のコミュニティの一員となって変化し続ける環境を感じることで、設計プロセスの一部に「住まうこと」を取り入れる。川北さんにとっても新しい試みとなりました。

川北さん:
「約2年間ほど実際に家族で住みました。この建物だけではなく、私が「小さなコミュニティ」と呼んでいる周辺地域や町全体のことを知り、実際に住んで自分たちの生活がどうなるかを体験してから建築したかったのです。普通のリノベーションプロジェクトでは変更後のことは考えられますが、変更前のことは体験することができません…それならば、自分自身でそれが体験できれば面白いし、自分の家なので実験的に挑戦してみようと思いました。

実際に建物に住んでみると『ここを修正した方がいい』『こんな良さがあったのか』など住んでみてからわかることがたくさんありました。施工中には地域の子供たちを積極的に招き、庭などでたくさん遊んでもらいました。あまり身近ではない『建築』や『築70年という歴史』を持った建物を彼らに知って欲しかったのです。子供たちは実際に住むことはありませんが、子供たちの記憶の中にこの建物が残ることもまたコンセプトである『時の経過を積み重ねる』ことに繋がると思いました。私だけの作品ではなく、彼らの記憶にも残る作品にしたかったのです。」

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外観

さまざまな経過を積み重ねていく家

1階のリビングダイニングには大きな窓があり、家の中のどこに立っても公園や庭から緑を感じることができます。余白を多く使い広々とした空間の天井を見上げると、かつての古民家にあった柱などが多く残っていました。

川北さん:
「ライフスタイルも時代とともに経過していきます。一般的に古民家改修では既存の状態を極力残しますが、今回はその必要はないと考えました。建物の良さはもちろん残しますが、中の柱やレイアウトは存分に変えていいものだと思っています。その時代の住み方に建物を当てはめていけばいいと考えています。自分たちのライフスタイルに合わせて、チューニングをした感じでしょうか。この建物でも実際に既存の柱を抜いて、配置を変えたりしています。

前の家の素材はできるだけ使うようにしました。昔の柱と新しい柱を繋げているところがありますが、ペンキで同じ色に塗りつぶさず、あえてそのままにして経過の積み重なりを表現しました。土壁にも改修で出た土などを再利用しています。

素材はプラスチックなどの消費的なものではなく、土壁やリノリウムなどの天然素材などを自分たちが使うことで、経年の変化(時の経過)を感じることができる素材を選定しました。」

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マーモリウム リアル ML-3146
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昔の柱と新しい柱が組み合わさっている
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天然素材であることにひかれました

川北さん:
「最初はフローリングを検討していましたが、それだと少し面白くないなと思い、いろいろな床材を探しているなかで『天然素材で大きな面積を貼れるリノリウム床材があるよ』と知人から教えてもらいました。天然素材ということは経年変化が起こるものだと思い、コンセプトに合うものなのでサンプルを取り寄せました。フローリングを最初に考えていた理由は、できるだけ広い空間で貼れるものだったので、長尺シートであるマーモリウムはその点でも選んだポイントでした。とても良いものだったので次の仕事でも使うと思います。

掃除がしやすいのはもちろん、じつはペットがいる家庭にもおすすめです。これは意図していなかったのですが、よくペットが床を舐めているのを見るので、天然素材の床材で安心しました。ワックスが多くかかっている床だとやっぱり少し不安になりますよね。

ビニールのイメージがあると思いますが、そんなことはなく肌ざわりがとてもよかったです。」

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マーモリウム スプラッシュ ML-3428

──普段、空間デザインにおいて心掛けていることやこだわっていることをお聞かせください。また、そのなかで床材を選定する際に重視しているポイントなどをお聞かせください。

川北さん:
「私が設計するうえでいちばん大切にしているのが『Wow factor』というイギリスで働いているときに学んだ考えです。空間に入ってどれだけ驚き(Wow)があるか、それをつねに考えて設計しています。Wowを感じるためにはどうするか、どういうコンセプトにするかを考えています。この考えが私のすべての建築においていちばん重要なものです。これを細かくかみ砕いていくと、素材だったりデザインだったりしますが、いちばん大切なのはどれだけ空間にWowがあるかです。やっぱり楽しくないと面白くないですよね。

我々はいつも新しいものに挑戦したい、新しいものを発見したいと思いながらデザインや建築をしています。新しい素材があれば積極的に使ってみたいです。もちろん必要な性能・規格や施主の意向などがあるので、使うことが難しい場合もありますが、つねに今までの体験、経験を超えてWowを感じたいと思っています。新しい素材や色とか普通じゃない方がいいです(笑)」

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──今後、空間デザインにおいてやってみたいことや目指したいことをお聞かせください。また、床材についても、使ってみたい色柄やデザイン、機能などありましたら、お聞かせください。

川北さん:
「自分個人の作品を作るより、誰かとコラボレーションをして作品を作りたいです。建築家が3人集まるのではなく、建築家と不動産とファッションデザイナーなど三者三様の集まり方をして、みんなで意見を出し合ってワイワイしながら空間を作れたら楽しいですよね。自分と違う職種の方とやると新しい発見があるので勉強にもなります。

また、私はリサイクルよりもっと進んだものはないかと思っています。世の中には製品にならなかったもの(規格外や切れ端など)がたくさんあるので、そういった生産のライン上で落とされたものをリサイクルへ回すのではなく、新しい製品になって出てこないかなと思っています。実際にテキスタイルの世界ではすでに行われており、規格外の布を使って規格内の布を作るアップサイクルの製品があります。これは建材にもできるのではないでしょうか。」

川北邸

GoGo1122  川北 豪 
https://gogo1122.jp/

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- 弊社担当より - 田島ルーフィング 床材営業部  望月 進

川北様の古民家フルリノベーション工事に携わらせていただきました。普段行っている新築・改修工事とはまた違う建築に心を惹かれました。
この度使用していただきましたマーモリウムを素足で感じ、木に匹敵する肌ざわり・天然素材感とのお言葉に、住宅分野でもさらに普及させていける自信が生まれました。今後お客様がより一層購入しやすい仕組みを考えていきたいと思います。

 

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