NEWS TOPIC
ソフト巾木で床と壁の接点を手軽に美しく[TAJIMAの開発床材③ソフト巾木]
空間デザインを考えるとき、メインとなるアイテムは面積が広い床、壁、天井や、目に付きやすい家具などでしょう。しかし最終的な仕上げの段階で考える際には、床と壁の接点に納める“巾木”もポイントのひとつとなるのではないでしょうか。巾木は床面と壁面に生じる隙間が見えないようにその接点をきれいに納め、靴やキャスターなどの接触から壁紙を保護する役割を担います。種類は大きく分けると、ソフト巾木と木巾木(もくはばき)の2種類があります。
ソフト巾木と木巾木 それぞれの特長とメリット
まず木巾木については、その名の通り木製で厚みがあり、ライン状に溝が入っているなど装飾的な形状のものも多く見られます。厚みがある分、壁紙をしっかり保護できますが、釘付けで固定するため施工が大変で、ほこりがたまりやすいなどのデメリットもあります。さらにソフト巾木に比べると、やや高価となります。
一方、ソフト巾木はビニル製で薄く、柔らかいことからその名が付いています。切ったり貼ったりするのが簡単で、角にも折り曲げて貼れるなど施工しやすいのが特長です。清掃も比較的しやすく、木巾木に比べるとコスト面でも魅力がある巾木です。
このソフト巾木を日本で初めて開発したのが、床材メーカーのTAJIMAです。木巾木しかなかった1950年代当時にビニル製の「ソフト巾木」を開発・製造。それから長く拡販し続けてきたことで、今ではその製品名がビニル製巾木の代名詞として皆様に親しまれているのです。
TAJIMA ソフト巾木 開発の歴史
1949年当時、建築防水材メーカーとして地位を築いていたTAJIMAは、そのアスファルト技術を見込まれ、戦後1949年にGHQからの要請を受けて床材開発に着手しました。そして開発された「アスファルトタイル」は、“100万人の歩行に耐える床材”として大きな反響を呼びます。その流れを受けて1954年には、床材の関連資材として、同じくアスファルト製の「プレス巾木」を開発・発売。しかし、生産性が悪く、長さが1フィートしかなく継ぎ目が目立ち、目地が透いてくるなど、課題も多くありました。
そんななか1956年、メインのタイル製品においてプラスチック製の「プラスタイルP」を発売。同時に大きく宣伝広告し、通称の「Pタイル」が世間に広く普及します。続けてTAJIMAはプレス巾木の課題を解決すべく、新しい巾木の開発をスタート。Pタイルに近い配合の材料をシート状に成形して作る製造方法にチャレンジします。はじめは下部のスカート部分が直線にならず苦戦しますが、試行錯誤を繰り返すうちに最適な温度条件を見つけ、ようやく完成。1958年、ソフト巾木・HA巾木を発売します。品番HA-1~6の6色展開で、厚み2.5mm、高さ100mm、長さ914.4mm(約3フィート)、1ケース50枚入りの製品でした。
ソフト巾木・HA巾木はプレス巾木に比べて生産性は上がりましたが、表面の仕上がりがよくなく、曲がりや収縮があるなどの課題が残っていました。そこで今度は製造方法をロール方式から押出機を使う方式に切り替え、翌1959年に改めてソフト巾木・HB巾木を発売。今度は品番HB-1~6の6色展開。品番の頭に付く「HB-」は、現行の品番にも続いている超ロングセラー製品となっています。その後もさまざまな課題をひとつずつクリアしながら製品のブラッシュアップを続け、「ソフト巾木」はビニル巾木の代名詞となっていったのです。
現在のTAJIMAソフト巾木 ラインナップ
いくつかの種類があるなかで、製品名ずばりの「ソフト巾木」はもっともスタンダードな長さ914.4mmタイプです。高さは40、60、75、100mmの4種類があり、下部に曲がりのある「袴あり(あとづけ用)」と、下部に曲がりのない「袴なし(先づけ用)」の2種類から選ぶことができます。
「長尺巾木」は長さ25mのロールタイプ。こちらは高さ60、75、100mmの3種類、袴あり/なしから選べます。また、「ササラ巾木」は階段用で1,050mm×330mmのシートから3段分2枚程度をカットして使うタイプ。「ワイド巾木」は高さ300mmの高幅サイズで、車椅子の利用者も想定される医療・福祉施設でもよく使われます。
これらのカラーについては、床材や壁紙に合わせやすいホワイト、ブラウン、グレー、ブラックを豊富に取り揃えています。
※種類や色柄によって標準在庫品と受注生産品があります。くわしくは製品ページにてご確認ください。
木目のある空間に合わせたいときには、「木調巾木」もおすすめです。長尺のロールタイプで、高さ60、75、100mm、ワイド300mmの4種のラインナップ。スタイリッシュな空間に作り上げたいときには、パールの質感を高めた「ソフト巾木(ハイカラ―)」もお選びいただけます。
また、空間内で巾木はすっきりと見せたい、窓枠の幅と合わせて空間に連続性を持たせたいといったニーズに対しては、ミニマルな高さ30mmサイズの「ひとふで」シリーズもご用意しています。
「ガード巾木・AC」は発泡層つきで壁面下部への衝撃を緩和できる巾木。キャスターでの移動が多く見込まれ、壁面を保護しておきたい医療・福祉施設などに適材です。高さは300mmで、ロールタイプの製品です。
壁面下部の防汚性や意匠性について考える
TAJIMAの巾木はソフト巾木をはじめ、その大半が防汚・抗菌・防カビ性能を持っています。汚れにくく、汚れても落としやすくなっていますので、ヒールマーク対策などきれいな空間づくりの面でも効果を発揮します。
※対象製品については製品ページにてご確認ください。
さらに、壁面下部にTAJIMA床材の意匠性や防汚性を拡張して使う方法もあります。壁面にタイルやシートを施工する際の見切り材「エッジバー」や、シート立ち上げ時の天端をきれいに仕上げる専用部材「ミニモール」などの製品もご用意しています。
※くわしくは製品ページにてご確認ください。
床面から空間づくりをサポートするメーカーTAJIMA
1950年代のPタイルのヒットによって床材メーカーのパイオニアとなったTAJIMAは、その後ソフト巾木を世に送り出し、同じく普及させました。床面だけにとどまらず、壁面や空間全体との調和も考えながら、これからもよりよい空間づくりをサポートしていきたいと思っています。床材や巾木をご検討の際は、ぜひTAJIMAの製品も選択肢のひとつとしていただけますと幸いです。